俺、兄貴になりました
「何で俺が恋って分かった?」
「は?」
あー、俺が見分けられたことにびっくりしてんのか。
「バーカ。前々から見分けられるようにはなってたんだよ。ただ自信がなかっただけで。
でも今はもう大丈夫だ、はっきり分かる。お前ら、よく見たら全然似てねぇから」
恋の隣に腰掛け、頭をくしゃくしゃと撫でた。
「お前はもうちょっとわがまま言ってもいいんじゃねぇか?長男だからって、甘えちゃいけねぇって決まりはないんだ。
蒼はそんなお前を心配しながら、一緒にその重荷を背負ってるみたいだけど」
「なんで、分かるんだよ……?」
なんでって。
「兄貴ですから」
ちゃんと見てやるって、陽とも約束したしな。
その約束がなくても、ちゃんと見るつもりだったし。
「俺に甘えろや。甘えることに慣れてないんだったら、俺が甘やかしてやる。
はっきり言うぞ?俺はお前らが大好きだ」
俺の言葉に、恋がふはっと笑う。
その笑顔は作り物ではなく、目元が下がった、本物の笑顔だった。
「何それ、ブラコンかよっ」
「そうだな。ただのブラコンじゃねぇぞ?極度のブラコンだ」
「威張って言うことか」
はははっと笑う恋を見て、少しホッとした。
「で?お前はなんで暗い顔してたんだ?」
「いや、もうどーでも良くなったからいいよ」
「そっか……ところで恋くん。帽子はどうしたのかな?」
ヤバイという顔をしたあと、恋は乗り物の順番待ちをしている弟達目掛けて走っていく。
「待て!このやろ!」
それを俺が追いかける。