俺、兄貴になりました
授業参観
「「翔にぃー!」」
夜、夕飯を終えた後、リビングのテーブルでデザインの仕事をしていた俺のところに、尚と慎が何やら紙切れを持ってやってきた。
「どした?」
作業の手を休むことなく聞き返すと、二人は持っていた紙切れを俺の前に差し出した。
なんだ?
手を止めてその紙を受け取ってみると。
「授業参観の……お知らせ?」
下の文を読んでいくと、期日は明後日。
明後日か……。
「翔にぃに行ってもらえって、お母さんが」
「行ける?」
まいったな……。
明後日は重要な交渉会議がある。
世界で活躍するアーティストの衣装を提供するための会議だ。
「翔にぃ?」
「来れない?」
だぁあああっ!!
そんな泣きそうな顔すんな!!
そんな顔されたらっ……。
「行くよ……」
って、言うしかねぇだろ……。