俺、兄貴になりました
「恋ー、マネージャー来たー!先行ってるぞ!」
はぁ……。
今日もか……。
毎日毎日、俺はこうやって弟の世話をしているから、自分のことは後回しになる。
別に嫌じゃないんだけど。
しょうがない。
あっちでスタイリストにセットしてもらうか……。
ホントはいつも蒼と間違われるから嫌なんだけど。
洗面所のドアを開けて出ようとした時。
グイっと引っ張られて、気づいたらまた洗面所の鏡の前に立たされていた。
「恋、少しは兄貴を頼れ」
え……?
振り向くと、そこにはさっきまで慌ただしく弟達の相手をしていた兄貴が、俺を優しい目で見ていた。