俺、兄貴になりました
「俺も行かせてもらえないなら、こんな事務所辞めてやる!」
「な、何を言ってるんだ、蒼くん!」
「俺が辞めて困るのはそっちだろ!?俺らがいなきゃ稼ぎもないもんな!」
「いい加減にっ…」
「いつまで恋を苦しませる気だよ!ふざけんなっ…」
「蒼!」
我を忘れて社長に怒鳴っていた俺を、恋が止めた。
「蒼、もういい。俺、行くから」
行くって…。
「何、言ってんだよ…。それじゃお前が…」
「社長、俺が行く代わりに、ひとつ約束して下さい。
俺の弟達がちゃんと飯食って生活していけるように援助するって」
!!
お前、また俺たちの為にっ…。
「約束してくれなければ、俺はアメリカには行きません」
行かなくていい。
そう言ってやろうと思ってたのに。
恋の目が、何を言われても無駄だと言ってた。
決意した目だった。
俺は、何も言えなかった…。