俺、兄貴になりました
だから、思い切って言ってみたんだ。
「恋がハリウッドに?」
「うん。でも、本人は行きたいって思ってない。俺たちのために無理してんだ」
兄貴ならって、思ったから。
「…蒼、辛かったろ」
「え…?」
「お前だって、苦しかったんだろ?よく今まで恋を支えてきたよ」
違う。
俺は何も出来なかっただけだ。
ただ、恋の側にいることしかできなかっただけなんだ。
「違うんだ、兄貴……俺っ…」
「違わねぇよ。蒼、お前が居てくれて、恋はすっげぇ救われてたはずだ。
じゃなきゃチビ達の為にここまで我慢なんて出来ねぇよ。
お前だって泣きたかったんだろ?よく頑張ったな」
兄貴の手が、優しく俺の頭を撫でる。
その瞬間、今まで抑えてた感情が一気に溢れ出して、涙となって溢れた。