俺、兄貴になりました
今じゃ恋もちゃんと笑うようになったし。
夕食を済ませ、丁度片付けが終わった時、恋がボソッと呟いた。
「あー…どうすっかな」
「なに?」
「明日の帰りどうしようかって」
「あぁ、恋は明日ドラマの撮影あるもんな。マネージャーいないんだっけ」
「ん。マネージャーは健也についてくって。俺が大丈夫って言っちゃったんだけどさ」
でたよ。
すぐ俺は大丈夫って譲っちまう長男気質。
「ただいまー」
ガチャっと玄関のドアが開く音がするのと同時に、もうすっかり聞き慣れた声が聞こえてきた。
兄貴だな。
「おかえりー」
「翔にぃおかえりー!」
「おう、チビ助共。ただいま」
そう言ってチビ達の頭を撫でる兄貴は、もう兄貴じゃなくて父親みたいだ。