俺、兄貴になりました
「翔輝ー、ちょっと昼飯作ってくれ」
昼飯?
「お昼まだなのよ。本当は私が作りたいんだけど、私、家事とか出来なくて……」
意外だな。
高野さんはなんでも出来ると思ってた。
まぁ、いいか。
「ナポリタンでいいですか?追加で作れるんで」
「えぇ、お願いします」
早速キッチンに立ってナポリタンを作り始める。
ナポリタンに入れるピーマンを切っていると。
「翔輝にぃ、何か手伝う」
陽だった。
ホント、こいついい子だよ。
「お前、料理したことあんの?」
「ない、けど……切るくらいならできると思うから」
「そっか。じゃあ、そこのナス切ってくれるか?」
「分かった」
ぎこちなく包丁でナスを切る陽が、すごく可愛く見えた。
俺、兄貴バカになりそう。
「手ぇ切らねぇようにな」
「うん」
なんだ、大人っぽそうに見えて、こいつ全然子供っぽいとこあるじゃねぇか。