薬品と恋心
本当の仕事
遠くから聞こえる鳥のさえずりが心を落ち着かせてくれる。
ティアとジーニアスは木漏れ日がやさしく差し込む木の下に並んでこしかけた。
「…私は依頼を伝える伝言役ではなく、採取人です」
宙を見ながらティアがぽつりと口を開いた。
「採取人か…じゃあ今日ここにいるのは依頼を受けたからなのか?」
ティアはこくりと頷いて一枚の紙をジーニアスに差し出した。
ジーニアスはそれを見て言葉を失った。
渡された紙は依頼書で、その依頼人の部分に書かれているサインは間違いなく自分の筆跡。
こんな危険な場所にティアの足を運ばせたのはジーニアスだったのだ。
「こ、これ…終わったのか?」
「今しがた終わったところです」
「そうか…ごめん、ティア」
ジーニアスは心底すまなそうに言う。