薬品と恋心
「まあでも、男だったり美女だったりいろんな噂があるから、どんな人なのか知りたくはなるけどな」
ー夢を壊すようで悪い気もするけど、話すと決めたからには話さなくては。
しばしの沈黙の後、ティアはおずおずと口を開いた。
「…それ、私です」
「え?……ええっ!?」
ジーニアスは目を丸くして驚いている。
「え、だって…え?なんでそういうことになってるんだ?」
ティアを見ながら、訳がわからない、というように目を泳がせる姿が楽しくてティアは小さく笑った。
「…子供が依頼を受けたなんて知られたら、依頼者を不安にさせると思ったんです」
「まあ…そうだよな」
子供が採ってきたものを使おうなんて考える調合師はまずいないだろう。
ーだから正体がわからないようにしているのか。
なるほど、とジーニアスは頷いた。