薬品と恋心
(ティアが幻の採取人だったなんてな…)
依頼を出した先の店主から期日までに薬草が手に入らないかもしれないと言われたため、ならば自分で採りにいこうと採取地に向かった。
その先でまさかティアと会うとは思わなかった。
顔にかかっていた髪をやさしく指でどけると、その下からあどけない顔があらわれる。
伝言先の人物などいなかったことに安堵しつつ、ジーニアスはティアのことが心配でたまらない。
幻の採取人がいることは以前から知っていた。
調合師仲間の間で有名だったからだ。
幻の採取人に依頼を受けてもらったという調合師たちが依頼した品はどれも入手困難なものばかりだった。
つまりティアは小さな体をいかし、普通の採取人では採れないようなところに採取に出かけていたということだ。
今回のような足場の悪い危険な採取地も初めてではないはずだ。