薬品と恋心
「ええ。ついいじめたくなるような可愛さよね。まあそれは置いとくとして、探していたのはあの子なのでしょう?」
「…たぶんそうだよ」
まだはっきりとした確信は持てないが、ティアはジーニアスが時を止めた少女、ジェンティアナだろう。
「そう。じゃあ早く薬を飲ませなさい。いつまでも貴方が苦しむのはみたくないわ」
「…でもまだ時間が必要なんだ…!!」
仮にティアがジェンティアナだったとしても、薬を飲ませるだけでは『愛の秘薬』は解除できない。
苦しそうに言うジーニアスを一瞥して、レティシアは長いため息をついた。
「飲ませたあとは、あの子次第よ。どうにもならないわ」
レティシアは踵を返すと書庫を出ていった。