薬品と恋心

男の子と出会ったのは夏だった。


私たちの家族は避暑のため、地方の涼しい地を訪れていた。


そこには美しい湖があり、そのほとりには貴族の屋敷が多数あった。


そのなかでもひときわ大きな屋敷に父は母と私を連れてよく行ったものだった。


父は貴族としての交流や、仕事の話をしていたのだろうと思う。


しかし、まだ当時10歳だった私にはそれが退屈でしかたがなかった。


そのため、よく庭で話が終わるのを待っていた。


噴水や、花のアーチ、迷路のような垣根など、芸術的な庭はいくら見ても飽きなかった。



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