薬品と恋心

「…なるほどな」



一通り話を聞いたあと、小太りの男はチューリップハットの男の腰のものに目をやった。



「あんた、採取人なのに剣も扱うのか?」



「ああ。いつ襲われるかわからん仕事だからな。大抵の採取人は何かしら自分を守る術を身に付けているぞ」



「…腕に覚えはあるのか?」


「少なからずできる方だと自負してはいるが」



「そうか」



小太りの男はニヤリと笑うと、男を手招きする。


ただでさえ近いテーブル席なのにもかかわらず、そういう行動をとったため、まわりに聞かれたくない話なのだと男も気づいて顔を近づけた。



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