薬品と恋心
「なんだ」
「依頼をしたい。でも、薬草採取じゃない」
「違うのか?なら、なんだ」
「ある子供を連れてきてもらいたい」
それを聞いて男の顔がしかめられる。
「俺は人さらいは趣味じゃない。そんな話なら断らせてもらう」
ガタン、と席を立った男の腕を小太りの男はすぐさまつかみ、引き戻す。
「まあ待て。それが誰か聞いたらあんたも興味を示すと思うぞ」
「誰だっていうんだ」
「…幻の採取人だ」
うんざりとしていた男の顔が驚きにかわる。
「聞きたいだろう?」
「…話をきこうか」
男は椅子に座り直した。