薬品と恋心
それでもやはり一人は寂しく感じるものだ。
きれいで面白いものは、誰かと一緒に楽しみたい。
でも、父や母にそんなことはいえない。
なにも今、お話を中断させてまで頼むことでもないからだ。
父や母が貴族の友人との交流を大事にしていることもわかっているし、ワガママをいって恥をかかせるわけにもいかない。
時おり庭師を見かけることはあったが、忙しいのか相手をしてもらえることはなかった。
誰かにかまってもらいたくて、でもそうすることもできなくて、庭のすみに隠れるように座り込んでいた私を見つけたのは、赤銅色の髪をした男の子だった。