薬品と恋心

ジーニアスが完成品を持ってレティシアの部屋をノックしようとした時、部屋の中から声が聞こえてきた。



「レティシア様。報告ですが…」



「ええ、聞かせてちょうだい」



どうやらレティシアと会話しているのは執事らしい。


レティシアはこの屋敷の主であるため、なにかあってもなくても一日に必ず一回はこうして報告を受けている。


長くなりそうなので出直そうとしたとき、



「ー…ティア様のご動向についてなのですが」



聞き覚えのある名前がきこえて、ジーニアスは足を止めた。



「最近は依頼を受けておられず、町のなかで集められるものを集めているようでございます」



ーティアが何かを集めている?



(どういうことだ。最近来なくなったことと関係があるのか?)



ジーニアスは耳をそばだてる。



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