薬品と恋心
「ここでだよ。なんでも採ってきたい薬草があるから、どこに生えてるのか教えてくれってな」
「ティアは…外に行ったのか?」
「そうだろうな。支度して来たって格好だったからな」
店主は後ろの薬草棚を片付けながら言った。
それを聞いてジーニアスはがく然とした。
ーなんで。
ーどうして何も言わずに危険なところへひとりで行こうとするんだ。
ー行くときは声をかけろって言っただろ。
言いたいことが頭に次々と浮かぶが、今はそれどころではない。
「ティアが採ってきたい薬草はどこに生えてるんだ?」
ジーニアスは採取地を聞くと、ティアを追いかけるため、店を出ていった。
扉の上部につけられていたベルがカロン、と弱々しく鳴っていた。