薬品と恋心
そしてー
ジーニアスが昔できなかったことが書かれている。
『愛しあう者同士の口づけ』
それをしない限り、『愛の秘薬』は解除できないのだ。
ティアはこれを知ったらどう思うのだろう。
『薬を飲ませたらあの子次第よ』
レティシアの言葉が頭をよぎる。
確かにそうだ。
ティアに好きな人はいるのだろうか?
ーそれはわからない。
でもいつかティアは条件を満たして元に戻るだろう。
ーそう、誰かとキスをして。
そう考えたとたん、怒りにも近い感情がわきあがり、ジーニアスは近くの壁にダンッと勢いよくこぶしを打ち付けた。