薬品と恋心
「ティアは、…狙われてるんだ。今日だって…」
ジーニアスは渡された招待状を突き返した。
「あら、何かあったの?よかったら聞くわよ?」
レティシアは突き返された招待状をヒラヒラさせながらジーニアスを覗きこんだ。
ジーニアスは今日のことをかいつまんでレティシアに話した。
「なるほどねぇ…じゃあ、あの子だとわからなければいいのではないの?」
「そんなことできるはず…!」
ない、という言葉を遮りレティシアは言葉を重ねてきた。
「成長したらバレないのではなくて?」
招待状で口もとを隠しながらクスリとレティシアが笑う。
彼女の意図を読み取ったジーニアスはハッとした。
「そういうことか…!だから文書をティアに見せたのか?」
「さぁ、なんのことかしら?」
レティシアはふふっと妖艶な笑みを浮かべると、踵を返して優雅に去って行ったのだった。