薬品と恋心
約束
男の子に名前を聞くと、しばらく考えたあと、ジークと名のった。
歳はティアよりふたつ上の12歳。
おちあうのはいつもの庭。
当然のように追いかけてくる大人を撒いて一息つくと、
「はい、これ」
といつも決まってジークが渡してくるものがあった。
「わあ、ありがとう」
それはきれいな色をしたジュースだった。
先生のところから持ってきていると聞いて、初めは遠慮していたのだが、許可はもらっていると聞いてからは安心していただいている。