薬品と恋心
「先ほどのあの人はどなたなのですか?」
「レティシア様です。この屋敷の主ですよ」
ー屋敷の主…?
ーまさか。
「…ジーニアスが護衛しているという方ですか?」
ティアはおそるおそる聞いてみた。
確かジーニアスは20代の女性を護衛していると言っていたはずだ。
「そうでございます」
執事は表情を変えることなく、さも当然のように答えた。
「…!!」
ー彼女が…!
てっきりこの屋敷の子供だと思っていた。
ーどうしてその方が自分をを迎えにきたのだろう?
(話があるって…まさか私、何かしてしまったんじゃ…?でも何を?)
意味がわからず、ティアは困惑した。
「私に何の用事でしょうか…?」
不安になり、執事に尋ねるも答えてはくれなかった。
ただ、ひとこと。
「レティシア様が話されることでございます」
そう言うと、執事は一礼して部屋から出ていった。