薬品と恋心
★第一章★ 幻の採取人
ディンレーベン王国。


この国には調合師という薬から毒まで調合する技術を持った者たちが存在する。


もちろん少数ながら医者もいるのだが、病気になったら調合師のもとへ薬をもらいに行くのは一般庶民にとっては常識だ。


そんな彼らを支えるのが薬草採取人。薬の原材料である薬草を採ってくる採取人は彼らにとって貴重な存在であった。


採取人の依頼の受け方は様々だ。


直接依頼主から依頼を受ける者もいれば、薬草販売店などを窓口として依頼を受ける者もいる。


もちろん薬草販売店に卸している採取人もいる。

だが、店に出される依頼書の大部分は調合師や貴族からの依頼であり、こちらの方が報酬が高い。


大半の採取人はこの方法で依頼を受ける。


報酬が高いのはもちろんのこと、依頼主と直接顔をあわせることもないし、なによりどの依頼を受けるか自分で選ぶことができるからだ。


幻の採取人もこの方法をとっていた。


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