薬品と恋心
この胸の高鳴りを知られてはいけない気がして、ティアはあいまいな笑顔を返した。
ジーニアスは満足そうに手を振って屋敷の中に入っていった。
ジーニアスの服は雨に打たれたせいか若干汚れていたものの、元気そうだ。
見る限り盗賊に遭ったような感じはしなかった。
どうやらティアの心配は杞憂だったらしい。
(良かった…)
ティアは胸をなでおろすと空を見上げた。
昨日の嵐とはうって変わって空には澄んだ青が広がっていた。