薬品と恋心
ジーニアスは手にしている小ビンを眺めた。
そこには完成した解除薬が入っている。
ティアがこれを飲み、想い人とキスをすれば自分の役目は終わる。
気に病んでいたものから自分も解放される。
解放される…のに。
このままの関係でいたいと、彼女と離れたくないと思う自分がいる。
いつまでもこのままでいられないことはわかっている。
いつか離れてしまうとしても、せめて自分の存在を覚えておいてほしい。
そのためにも、ティアが想い人と会うためにも。
今はしなければならないことがある。
ジーニアスは小ビンを手の中におさめると、意を決して扉をノックした。