薬品と恋心

(それにもう…一緒にいることはできない)



できることなら、ずっと一緒にいたかった。


ティアを危険から守ってやりたかった。


しかし、王都に戻ってしまった以上、もうこれまでのように他の町に気軽に行くことはジーニアスにはできなかった。


王都に帰った以上、否応なしに婚約発表が控えている。


そのためジーニアスは調合師として見聞を深めるためというもっともらしい理由をつけて今まで王都に戻らずにいた。


そんな理由をつけて逃げていてもいずれ限界はくる。それはわかっていた。



< 213 / 421 >

この作品をシェア

pagetop