薬品と恋心
誰が相手でも一緒だ、と半分なげやりになりかけていた時にティアに再会し、あらためて自分の気持ちに気付かされた。
それに気づいたのか、レティシアは研究文書をティアが見るようにし、ティアが解除薬を依頼するようにした。
レティシアは薬が完成する前にティアを舞踏会に誘い、さらにひと足先にティアを伴って王都に行くことにより、必然的にジーニアスが王都に行かざるを得ない状況を作り上げたのだ。
ーティアを守ると言ったのに。
ジーニアスはもうティアを守ることができない。
ーだから、今自分にできることでティアを守るしかない。
ジーニアスはきゅっと唇を引き結んだあと、決意したように口を開いた。