薬品と恋心
解除薬
「ティア、これを渡す前に大事な話があるんだ」
完成した薬を見せながら、ジーニアスはまっすぐにティアを見つめた。
その真剣な瞳を受け止めたティアはすぐに顔を引き締めてジーニアスの言葉を待った。
「実は、この薬を飲むだけではティアの飲んだ『愛の秘薬』は解除されないんだ」
「…解除されない?」
「この薬を飲んだあと、あることをしなければならないんだ」
ーあること。
(…そういえば文書に何か書いてあったような…)
ティアはあの研究文書の内容を思い浮かべた。
『解除するためには…解除薬を飲んだあと、愛する人に…』
その続きのページは欠落していて読むことはかなわなかった。
「あることってなんですか?」
もとの体に戻るためなら、どんな努力だって惜しまない。ティアは決意をその瞳ににじませ、ジーニアスに問いかけた。