薬品と恋心

そんなティアの心などわかるはずもないジーニアスは言葉を続ける。



「本当ならするべきじゃないんだけど…強引に戻すから少しばかり苦しい思いをするかもしれない。リスクはある。それに、もって数時間。それでも、する?」



ジーニアスに真剣な瞳で問いかけられ、ティアはこくりとうなづいた。



「…わかった」



ジーニアスは手に持っていた小ビンをティアに差し出した。


ティアは震える手でそれを受け取り、ジーニアスの言葉を待つ。


リスクを伴う解除の仕方とはどんなものなのかを。



「これを飲んで、オレがティアにキスをしたら一時的に元に戻れるよ」



ジーニアスはティアの手をとり、それに口づけるしぐさをした。


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