薬品と恋心

キスされたとたん、ティアの体がドクンと大きく脈打った。



「ーっ、あああああっ!!」


次の瞬間、体中の血が一気に沸騰したように全身が熱くなり、ティアは両手で体を抱き締めるようにして膝をついた。



ー熱い。



ー痛い。



ー苦しい。



その感情だけがティアを支配する。


自分が今どうなっているのかを冷静に考えている余裕などない。


強制的に一気に成長させているせいなのか、いまにも体が引き裂かれそうだ。



「くっ…ううう…っ…はっ、はぁ…っ!!」



体が悲鳴をあげ、呼吸もままならず、汗がとめどなく滑り落ちてくる。



ーでも、これを乗り越えさえすれば元に戻れる。



かろうじて働く頭の片隅でそれだけを考え、ティアは今にも飛びそうな意識を繋ぎ止める。



< 220 / 421 >

この作品をシェア

pagetop