薬品と恋心
「う…っ、くっ…あぁっ!!」
体が大きくなってきたのか、巻き付けたシーツの下の布がビリィッと引き裂かれる音が耳に届く。
きっと自分はひどい格好をしているに違いない。
でももう頭の中は何も考えられない。
「ー…っ」
ひときわ強い痛みが襲ってきたかと思うと、それは一瞬にして消えた。
先ほどの痛みが嘘のように引いて行く。
(…終わった…の…?)
くらりと目眩がしてティアは前に倒れこんだ。
床に体を打ち付ける前にふわりと誰かに抱き止められた。
この腕には覚えがある。
ージーニアス…
何度この腕に抱き止められただろう。
安心と同時に少しの不安も生まれてくる。
ー成長した私を見てジーニアスは今どんな顔をしている?
驚いてる?
喜んでくれてる?
ージーニアスの顔が見たい。
そう思うのに。
気力を使い果たしたティアはもう目を開けることができなかった。