薬品と恋心

ジーニアスはそんなティアに何も言わず、ただ黙って優しく頭を撫でてくれた。


「よく頑張ったな」という言葉がそこから伝わってきて、ティアの目尻から一筋の涙がこぼれ落ちた。



ージーニアス。



ーあなたが今何を思っているのかを知りたい。



ーどうして私を見るとき寂しい顔をするのかを。


ーなぜ悲しい顔をするのかを。



ーその理由を知りたい。


(知りたい…のに)



ティアの体は言うことをきいてくれず、まぶたは重く、頭はもう考えることを拒否している。


ただ今は、眠りたい。



「ジー…ニアス」



「ここにいるよ」



少し笑みを含んだような安心する声が聞こえたのと同時にふわりと地面から足が離れる感覚がした。


ジーニアスの腕に抱えられたのだとぼんやりする頭の端で理解した。


ふわふわと揺れる感じが心地よく、ティアはいつしか夢の世界へといざなわれていった。


意識を手放す寸前にまぶたに柔らかい感触が触れた気がしたが、それが何なのかを確かめることはできなかった。



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