薬品と恋心
そう見えたとしても不思議ではない。
ージーニアスはレティシア様にとっての王子様なのだから。
あまりに二人がお似合いすぎてそう見えただけなのだ。
ーそうに違いない。
(うん…お似合い…だよね。だけど…)
ティアは少し視線を落とし、その先の言葉を飲み込んだ。
ジーニアスは貴族。自分とは身分が釣り合うはずはない。
ーそれなのに。
ジーニアスの隣を歩くレティシアが少しだけ羨ましく思えた。
どうしてそこにいるのは私じゃないんだろう、と思ってしまった。