薬品と恋心
「そんな…私こんなところで暮らしていけるの…?」
とてつもない不安が襲いかかってくるが、なんとか自分を奮い立たせる。
(いや、屋敷の外に出なければ大丈夫!!)
そう思ったのもつかの間、それは避けられないことなのだと思いしる。
叔父の屋敷は今まで暮らしていたところに比べてはるかに小さく、そしてみすぼらしかった。
内部の壁は薄汚れており、庭も手入れが十分にほどこされてはいない。到底商売がうまくいっているようには思えない。
使用人はふたりほどしかおらず、なんとか屋敷を維持しているといった様子だったため、ティアも屋敷の維持管理を手伝わされることとなった。
したこともない掃除や洗濯、料理に買い物を使用人たちに教えてもらいながらこなした。
白くてケガひとつなかったティアの手は次第に荒れていった。