薬品と恋心
「親もいないお前を守ってやれるのは僕だけだ。そうに決まってる」
男は喉の奥でククッと笑うとティアをなめるように見つめた。
「今度こそ逃げられないようにしないとな…なぁ、ジェンティアナ。どうすればお前は僕のもとから逃げなくなるんだろうな…」
問いかけても返事は返らない。
あどけなく眠る姿にに毒気を抜かれたのか、男はふっと一瞬優しい色をその瞳にたたえた。
「今はまだ連れていかない。だけど…どんな手を使ってでも必ず手に入れてやるからな」
男はティアの髪を少し手に取り、そこに軽く口づけを落としてから部屋を出ていった。