薬品と恋心
ティアはその足でジーニアスの部屋に向かっていた。
ティアがしなければならないことーそれは。
ージーニアスに別れを告げることだった。
でもそれは簡単なことではない。
ティアの気持ちももちろんのこと、専属の採取人にはなれないことをそのまま伝えてもきっとジーニアスは納得してはくれないだろう。
理由を聞かれてもティアは答えることはできないし、聞かれたくない。
ーだから。
(私は嘘をつこう)
ー仕事が終わって帰ってきたら専属契約をすると。
そうすればきっと納得してくれるだろう。