薬品と恋心
ティアはまっすぐジーニアスの目を見て口を開く。
「話があってきました」
「話…?」
ティアの瞳の中に真剣さを感じ取ったジーニアスはすぐに顔を引き締め、ティアを部屋に招き入れた。
太陽の光が穏やかに差し込む窓際に置かれた椅子を勧められ、ティアはそこに腰掛ける。
ジーニアスはテーブルを挟んだ真向かいに座った。
「それで、話って?」
「ひとつしなければならない仕事があるんです。ここではできない仕事なので…」
「…王都を出るのか」
ジーニアスの口からポソリと零れた言葉はティアの心を揺らす。
ーでも、ここで揺らいではいけない。
ティアはテーブルの下でギュッと手を握りしめて、決意に満ちた瞳でジーニアスを見る。