薬品と恋心

｢はい。元いた町に帰ります｣



｢…そうか｣



ジーニアスは手を口元に当ててやや下を向きながらしばらく何か考えていた。


眉根を寄せ、難しそうな顔をしたあとジーニアスは顔を上げた。



｢ティア、あの返事を聞いてもいいか？｣



それが専属契約のことだとすぐにわかったティアは笑顔を顔に張り付けた。



｢はい。帰ってきたら専属の採取人になります｣



｢そっか。それなら…｣



ジーニアスは安心した笑みを浮かべたあと、いたずらな瞳でティアを見つめた。


そして、次に発せられた言葉にティアは驚くと同時に困ったことになったと頭を抱える羽目になったのだった。