薬品と恋心
それからしばらくして、さらに追い討ちをかけるような出来事がティアを襲った。
その日、叔父は酒を片手に珍しく上機嫌だった。
何かの前祝いのようで、普段なら飲まないような少し高めのワインを開けている。
「おまえに良い話を持ってきてやったんだ」
「良い話…ですか」
「なんだ、今日はいつも以上に辛気くさい顔をしているな」
せっかくいい気分になっていたのに、興ざめだというように叔父は眉根をよせた。
「まあ、いい。おまえに縁談を持ってきてやったんだ」
「縁談…私、結婚するんですか」
ーお金なんてないのに。
伯爵である父はおらず、家はどうなったのかわからない。
この叔父は事業がうまくいっておらず、お金があるどころか借金を抱えている。