薬品と恋心
「お待たせしました」
声をかけるとジーニアスはすぐにいつも通りの顔に戻り、ティアをその瞳に映した。
「その服、良く似合って……っ!?」
ティアの服に視線を下ろしたジーニアスが一瞬驚いた表情を浮かべた。
「ジーニアス?」
「あ…。いや、なんでもない。それじゃ、行こう」
ジーニアスは扉に向かい、ティアを外へと促した。
まさかな、というジーニアスの小さなつぶやきは前を歩くティアの耳には届かなかった。