薬品と恋心
さらりと風になびく青銀髪の髪。
細くしなやかな四肢は女性らしくたおやかだったが、その瞳には意思の強い光が宿っている。
ティアは誰にもその事情を話す気はないらしいことが決意に満ちたその瞳からうかがえた。
あの日、突然部屋に訪ねてきて「町に帰ります」と言いだしたときのティアは、なぜだか今にも消えてしまいそうな気がした。
まだ専属契約を結んでいない以上、仕事と言われたら止めることはできなかった。
『帰ってきたら専属契約をする』
そう言ってくれたティアを信じていないわけではない。
ーでも。
ティアをひとりで行かせてはいけないような気がしてならなかった。