薬品と恋心
「正確にはわしがおまえを売ったからな」
「え…売った…?」
叔父の言葉を反芻して、改めて言葉の意味を知る。
嫁として売られた。
つまり、私は叔父にとっては家族ではなく、商品だったのだ。
「そうともさ!!でなければ誰がおまえのような子供を育てたりする?いや、体のほうはまったく育ってはいないようだがな!!」
叔父の不快な笑い声が部屋中に響く。
(…そんな…)
ティアは呆然とその場に立ちすくむことしかできなかった。
動きたくても足がその場に縫い止められたように重く、動かない。
叔父がティアにろくにかまいもせず、疎ましく思っているのは知っていた。そのくせ、追い出しもせず、手元に置いていたのはこのためだったのだ。