薬品と恋心
別れ
町の鐘の音がジーニアスとの時間の終わりを告げる。
ジーニアスは言いかけた言葉を飲み込んで仕方なさそうに笑った。
「時間…だな」
「…はい」
「ティア。仕事が終わったらでいいから…オレの話を聞いてくれるか」
真っ直ぐなジーニアスの瞳にティアの胸が痛いくらい締め付けられる。
ーその約束はできない。
(だって私の仕事は…ジーニアスと離れることだから)
ー行きたくない。
ー離れたくない。
だけど、好きな人が守れるならば。
(今までありがとう、ジーニアス)
ティアはお礼を込めてとびきりの笑顔をジーニアスに向けた。
ジーニアスの顔に安心したような笑みが浮かぶ。