薬品と恋心
採取人の仕事は繊細さが伴う。
それが人におおっぴらに言えない薬草なら、なおさらだ。
仕事前のティアを煩わせることはしたくなかった。
自分の話はティアの仕事が終わってからでもできる。
あとで話を聞いてくれるか尋ねると、ティアは困った顔をしたあと、いきなりキスをしてきた。
あまりのことにしばらくその場から動けず、戸惑っているうちにティアは行ってしまった。
ーあのキスはどういうキスだったのだろうか?
ジーニアスはベッドに腰掛け、窓の外を見た。
日は傾き、夜の帳が下りようとしている。
隣の部屋のティアはまだ帰ってきた様子はない。