薬品と恋心

そんなティアにため息をつきながらメイドはティアに声をかける。



「ジェンティアナ様。くれぐれも変なことを考えないでくださいね」



ー変なこと。



つまりは死のうとするな、ということだろう。



ーもうそんなことは考えていない。



ジーニアスを守るためには生きなければならないのだから。



ーそれに。



ティアは胸元に手を当てる。



ージークに会うためにも。



あんな言葉はもう二度と口にしない。今度こそ、どんな扱いを受けようが耐えてみせる。


ティアは胸元に置いた手を握りしめ、強い決意の光をその瞳に宿した。


< 374 / 421 >

この作品をシェア

pagetop