薬品と恋心
その日の夕方、ティアの決意は早々に試されることになった。
明らかにメイドのものではない足音が近づいて来たかと思うと、返事を待たずに扉が勢いよく開かれた。
「ジェンティアナ!!」
息を切らせ、顔を紅潮させたゲオルグがそこにいた。
「見ろ!!」
ゲオルグは大股でティアに近寄ると、持っていた白い布を広げて見せた。
それを見たティアの瞳が驚きに見開かれる。
シルク地に小さなビーズを使った繊細な刺繍が施され、胸元には美しいレースがあしらわれており、腰から裾にかけてたっぷりした布で流れるようなドレープが施されていた。
思わず目を奪われてしまうようなそれは、ウェディングドレスだった。
「…これは…」
「君のドレスだ。明日、君はこれを着てぼくのものになるんだ。嫌とは言わせない」
「…明日、ですか」
ティアは視線をドレスからゲオルグに移した。