薬品と恋心

「な…っ、なぜそんなものを持っているんだ、ジェンティアナ!!こんなに愛しているのになぜ君はぼくのものになってくれないんだ!!」



動かぬ証拠を突きつけられ、ゲオルグのこぶしが小刻みに震えだし、いまにも相手を殺してしまいそうなぐらい強く燃えさかる怒りがそこに表れる。


怒りの炎からティアをかばうようにジーニアスがゲオルグの前に立ち、強い口調でゲオルグに語りかけた。



「お前がティアにしたことはすべて知っている。…勝負ならいつでも受けてやる。だが、ティアは渡さない」



ジーニアスは腰につけている剣に触れながらゲオルグに鋭い眼差しを向ける。


ゲオルグはそれ以上何も言うことができずに押し黙り、恋敵に連れていかれるジェンティアナの後ろ姿を歯をくいしばって見送った。

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