薬品と恋心
ティアが落ち着いたころジーニアスがティアの手を静かに取った。
「あいつは…ここにキスしたのか?」
ティアはジーニアスの肩にもたせかけていた体を起こし瞳を上げた。
「…いいえ」
「なら、いつからその姿を保っているんだ…?」
ジーニアスの瞳の奥にわずかなゆらめきを感じ、ティアはジーニアスのての上に置いた指に力をこめた。
「あの町が一望できる広場でジーニアスとキスした時からずっと…」
「…っ、そうか。じゃあその時に薬の効果が完全に消えたんだ…」
ティアから視線をそらし、小さく呟くジーニアスの頬はほんのり赤い。
ティアはその横顔をじっと見上げる。