薬品と恋心
それから…
それからしばらくたったある日、ティアは久しぶりにレティシアのお茶会に参加していた。
「それにしても、心配したのよ?困ったことがあったなら言ってくれたら良かったのに」
レティシアの口調は怒りぎみだったが、その瞳は優しいものだった。
あれから、わかったことはたくさんあった。
まず、レティシアはジーニアスの婚約者ではないこと。
誤解を生む原因となったレティシアの「大事な人」発言は、自分の弟に当たる人だから、という意味だったこと。
ーそう、レティシアの婚約者はジーニアスの兄だったのだ。
思い起こせばレティシアがあの時まだ何か言っていたような気がする。
しかし、ジーニアスの婚約者であると勘違いしたティアはショックのあまりその話が聞こえていなかったのだ。