薬品と恋心

「おはようございます、ジェンティアナ様。こちらにお召しかえくださいませ」



「え…?これ、ですか?」


差し出されたのはシンプルなブラウスにスカート。


動きやすそうだが、まるで町娘のような服だ。


城に住まう女性は基本ドレスを身に纏う。このような服はまず着ない。



ーどういうこと…?


意味がわからず、服を手に立ち尽くしている間にメイドは部屋にあったティアの持ち物を簡単にまとめていく。



ーえ…?



嫌な予感がしてティアはその場に立ち尽くした。


まとめられた荷物。
渡された町娘の服。


それはまるで、ここにはもういられないことを示しているようだった。



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