薬品と恋心
「どうして…ここにいるの?」
長いキスを終え、上がった息を整えながらティアはたずねた。
「ティアに会いたかったんだ。もう一度…この場所で」
「ここで…?」
「うん。ティアにどうしても伝えたいことがあったから、よんでもらったんだ」
ジーニアスはそう言うと抱き締めていた腕をほどき、ティアに向き合った。
ー何を言われるのだろうか。
サアッと二人のまわりを風が吹き抜ける。
ここに来るまでは不安と諦めでいっぱいだったのに、今は不思議と心が落ち着いている。
ジーニアスは一度瞳を伏せたあと、まっすぐにティアを見つめた。
「ティア、いや…ジェンティアナ」